空に優る景色は地面にしかない

あらゆる文章をとりあえず載せておくブログ

埋葬

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悲しみを通り抜けて、海の森に浸かっている。

生き物はすべて去った後だった。私は一人で何かを待っている。

 

風との抱擁は掴みどころがなく、まっさらで空虚だ。

それでも風と抱き合うことに私は意味を見出したがった。

 

私の見つめる瞳には何が映るのだろう。

海の色も空の色も溶け込んで、

しかし、ただ一色であるはずのない、多様な世界をそこに湛えている。

 

海の森を歩いていると、

戦いに敗れた者の、思い出だけが生き甲斐のような人を知る。

余生を過ごす若者の、灯火では明るくならない街に、

私はただ祈ることしかできない。

どんなに悲しくても傷を負った足のない青年に、ついに同情することはなかった。

 

青年の魂は跡形もなく消えたのか。

そんなはずはない。

葬られるのはきっと思い出ではない。

私の愛。